AWS Cloud Storage Day を楽しむためにクラウドストレージサービスをちょっと復習

cloudpackエバンジェリストの吉田真吾@yoshidashingo)です。


2013/9/13(金)にベルサール秋葉原で、AWS Cloud Storage Day が開催されます。

当日このイベントを楽しむために、全てのセッションには触れませんが、私が気になるトピックについてだけ、いくつか書いておこうと思います。

そもそもAWSが提供しているストレージサービスには何があるのか

AWSの片山さんが以前に紹介されたスライドで、AWSで利用できる10種類のデータストレージについて解説がされています。
個人的にはEC2にマウントして利用する「エフェメラルディスク」と「EBS」が最近気になるトピックです。

Ephemeral Disk (インスタンスストレージ)

揮発性(インスタンス停止時に中身が消されてしまう、スナップショットは作成できない)のストレージですが、無料で利用できます。
ただし、以下の点に注意が必要です。

  • マイクロインスタンスやM3系インスタンスでは利用不可
  • インスタンスサイズによっては、デフォルトでエフェメラルディスクがアタッチされていなかったり、アタッチされている本数も利用可能な本数全てではないものもあり、最大限利用したい場合は、インスタンス起動時や途中で自分でアタッチする必要があります
Elastic Block Store

エフェメラルディスク同様にEC2にアタッチして利用するストレージではありますが、データを永続化できて、スナップショットなどが取得できる点が特長です。
スナップショットは圧縮されてS3に保存されますが、S3に保存される容量は、確保したEBSボリュームのサイズではなく、書き込みのあったブロックが圧縮されたもの、また2回目以降は変更ブロックのみが保存される仕様とのことなので、課金対象のサイズが何GBになるか事前には見積りにくいようです。ボリュームサイズよりは小さくなるので、「要件的に何世代取得しておくべきか(=それが非圧縮で保存されているよりは安い)」で考えるのがよいでしょう。

参考→EBSスナップショットについて

10番勝負の詳細やEBSの詳細は、以下のスライドで確認しておきましょう

データにまつわるエトセトラ

また、サーバーワークスの小室さんが以前発表された資料の中で「クラウドのサービスを借りて大切なデータを預ける以上、対象のサービス提供事業者の財務基盤もチェックしましょうね」という視点は、普段無意識にやってますがあらためて大切な視点だなと思いました。

NASDAQ OMX の FinQloud という「コミュニティクラウド」

基調講演では、昨年の9/25、NASDAQ OMX グループにより提供開始された、AWS上で提供する金融サービス業態特化型のクラウド・コンピューティング・プラットフォーム「FinQloud」の講演があります。

FinQloudは米国のブローカー・ディーラー(証券会社)業務において、米国証券取引委員会(通称SEC)ルールに沿ったうえで、運用コストや複雑さを低減するためのシステムであり、初期機能として以下の2つのソリューションが提供されると発表されました。

  • 厳格な運用とセキュリティ要件を満たし、データの完全性を保護するために、全ての接続を NASDAQ OMX がデータセンター上で管理する暗号鍵管理システムを経由してアクセスされるストレージサービス「Regulatory Records Retention (R3) 」
  • 蓄積した取引データをより速くオンデマンドで分析してレポーティングする基盤である「Self Service Reporting (SSR)」

当日の基調講演ではこのへんの詳細がお聞きできることと思います。

また、上記サービスは「初期機能」とのアナウンスでしたので、今後、決済系の業務などをカバーするソリューションが追加される可能性もあるかもしれません。※ストレージや分析基盤よりも複雑な業務かと思いますし、注文や約定処理に至ってはクラウドだとRTTなどが要件的に厳しいかもとも思いますが。

いずれにしても、従来から特定分野の業態に特化したASPサービスがたくさん提供されており、それがクラウド化することで、リソースの硬直性から解放されて、よりリーズナブルにインフラが利用可能になる可能性のある「コミュニティクラウド」という形態は、この先一段と注目を増してくることと思います。

基幹系業務(SAP)をAWSで動かすための移行・運用ベストプラクティス

16:15からは、SAP on AWS のセッションも予定されています。

タイテックの石田さんは、先日のJAWS-UG名古屋において、SAP環境を半年で一人でAWSに移行した際の話をプレゼンされていました。AWSもSAPもサポートがしっかりしていたそうですし、AWSであればJ-SOXも問題なかったとのことです。詳細はAWSの公式ページに導入事例として掲載されています。

リアルテックの那須さんは、数年前からAWS上でのSAP環境のプラットフォームや各種ツールの稼働検証をし続けてノウハウを蓄積しており、クラウドコンピューティングEXPO春においては、cloudpackの「ダイレクトインポートサービス」を利用して、大規模SAPシステムをAWSに移行するドキュメンタリーを公開されていました。私もその動画内にちょっと出てたりしますw

ダイレクトインポートサービス で出展します

当日私はダイレクトインポートサービスを出展するcloudpackブースにいるので、もしかしたら自分自身、セミナーに一つも参加できないんじゃないかという予感がしているのですが、参加者のみなさんにはぜひイベントを楽しんでいただければと思います。

速度の安定した専用線を利用した大容量データの移行作業にご興味がある方はぜひブースにお立ち寄りください。