どうも、吉田真吾(@yoshidashingo)です。
まだ色々わからないことは多いんですが、いったん整理のため自分用のメモを起こす。説明が不十分な範囲は順次学んで付け足していく予定。
参考資料
- FinTech革命:とにかく初心者はこれ読んでおけ的な内容。Chapter 1,3,4読んでおけば大丈夫。
- 【金融革命】最新フィンテック (Fintech) 系サービスまとめ
- 世界の66のFinTech (フィンテック) サービスから見えた FinTech がもたらす未来
- 次にヒットするのはこの分野?日本にまだ無いFinTechサービス
- 決済インフラ入門:FinTechの話ではなく、まず既存の金融の仕組みを知っておくための業務知識。
1.FinTechとはなにか
FinTechとは「既存の金融事業の価値や非効率さを、新しいテクノロジー企業の技術を使って高める」市場・テクノロジートレンド。 もともと個別にテクノロジー企業の技術を金融機関が使ったり、テクノロジー企業自体が新事業で提供している流れがあるが、これらを総括して呼称しているために、非常に多くの事業がFinTech関連事業として認識されていることが多く混乱しがち。
1-1. FinTechを代表する事業
まずは業務観点でFinTechをまとめてみる。例はいったん日本のサービスに限定している。
1) 個人財務管理 (Personal Financial Management)
- なにを変えるのか
- 銀行、証券、クレジットカード、マイル、アマゾンなど、個人のお金の流れを把握するのに多数の手間がかかっていた(通帳記入、インターネットでそれぞれログイン)もの、またそれを定期的に見える化する「家計簿」をインターネット上で簡単に扱え、スマホなどでも使えるようにして利便性を上げる
- 代表的なサービス
- Zaim
- MoneyForward
- Moneytree
- MoneyLook
2) 融資 (Lending)
- なにを変えるのか
- 既存の金融機関が拠りどころにしていた信用情報(お金の流れ)と違い、人手を使わない信用情報の算定を行う(取引履歴などから)とともに、融資のチャネル的により近い場所で実行できるようにすることで利便性を上げる
- 代表的なサービス
- Amazon、GMO、楽天が出店者向けに融資サービスを行っている。
- AQUSH(ファンド) https://www.aqush.jp
- maneo(ソーシャルレンディング) https://www.maneo.jp
- Crowdcredit(世界中の地場の消費者ローンや事業者ローンに投資するファンド) https://crowdcredit.jp
3) 決済 (Payment)
- なにを変えるのか
- Webやスマホなどの新しいツールを用いて「お財布代わり」に使えたり、「POSレジ」にできたりすることで、今まで現金決済していた場所を電子取引に置き換える
- 代表的なサービス
- Coiney(スマホPOS)
- WebPay(APIで埋め込める課金処理サービス)
- SPIKE(無料で始められて安い手数料で決済できる(2.55%〜+10円〜)Web決済プラットフォーム)
- LINE Pay(個人間送金) http://shopping-tribe.com/news/11331/
- 楽天Facebook送金(個人間送金) http://www.rakuten-bank.co.jp/transfer/fb/
4) 投資支援 (Investment Advising)
- なにを変えるのか
- ウェルスマネジメントの分野は一任勘定で今まではファンドマネージャーによって運用されていたため、信託報酬が高めであった。特定の分野や投資性向などから自動的に投資アドバイスができればこれを大幅に低減できる
- 代表的なサービス
- ウェルスナビ(資産運用アドバイザー) http://www.wealthnavi.com
- AlpacaDB(デイトレ分析プラットフォーム) http://www.alpaca.ai
- お金のデザイン(投資助言) https://www.money-design.com
- ZUU(銘柄調査) http://zuu.co.jp
5) 経営・業務支援 (Accounting)
- なにを変えるのか
- 企業の会計システムや給与計算、企業の運営業務についてインターネット上のサービスとして利用できるようにすることで利便性を向上する。
- 代表的なサービス
- freee(会計、給与計算)
- Bizer(経理、法務などのバックヤード業務全般)
- SPEEDA(市場・企業調査)http://www.uzabase.com/speeda/
6) 暗号通貨 (Crypto Currency)
- なにを変えるのか
- 国家通貨を用いた取引はその所有者の情報を、所有者が預けている金融機関の中央データベースで管理されており、金融機関間での移動などに多大な取引コストがかかる。コストのベースにあるのは人件費や高額なデータベースとその冗長化などのコストである。暗号通貨はこれをドラスティックに分散型データベース(RDBMSではなく台帳部分)にして、取引参加者間の証明を通じて信用を担保する取引形態であり、またその独自ネットワークのことを指し、トランザクションコストの大幅な低減を目指している。
- 国家通貨と暗号通貨の変換を行う「取引所」が存在する
- 最近では暗号通貨間の変換を行う2ペグ型のブロックチェーンアーキテクチャ(サイドチェーンと呼ばれる)が注目されている
- 取引所の信用、トランザクションのスケーラビリティ、通貨のボラティリティ、価格安定性を誰も担保できない、51%アタック、コミュニティなど課題は山積みである。
- 代表的なサービス
- Bitcoin(通貨・取引台帳)
- R3 CEV(金融機関によるブロックチェーンコンソーシアム:サイドチェーンになると思われる)
- NASDAQが非上場株式市場に採用(カラードコインベースのサイドチェーン)
1-2. FinTechをささえるテクノロジー
1) API
- サービスを開放する手段としてRESTful APIを公開し、決められたインタフェース規約に則り、企業間の他システムとの連携や情報公開を疎結合に実現する方法。
- APIエコノミー
- 企業のデータをオープンデータ化してAPIで開放したり、BtoBでデータをAPI経由で販売する動きが活発しており、広く利用者はサービスに組み込みマッシュアップすることで価値を高めることが可能。
- (感想)特に日本では銀行がAPIを開けてないことで、個人財務管理サービスなどは伝統的にスクレイピングで対応してきたが、参照用のAPIだけ開けて認証を追加すればセキュアに実装が可能であるということもあり、金融機関はフィンテック、フィンテックと騒ぐ前にこういった対応を早くすべきでないかと思っている。
2) 人工知能
- 機械学習のフレームワークやマネージドサービスが揃ってきたことで、機械学習で精度の高いスコアリングが可能になる。
- (感想)ただし、現状のFinTechの企業が従来の属性情報のスコアリングや、取引情報のスコアリングとは違うアプローチである機械学習を実際に活用することで競争力にしようとしているのかはわからない。個人的には本当にAIと呼ばれるレベルでやっているのか懐疑的
3) ブロックチェーン
- 従来中央データベースで集中管理していた取引台帳を、参加者ネットワーク内に分散して持たせ、取引内容を参加者ネットワークで承認することでSPoFのない台帳管理を行う技術
- (感想)後述するけど手放しに採用できるようなものではなく、まだまだ課題が山積みな印象。まだ騒ぐ段階じゃなさそう。技術的には面白そうだけど。
概況
アメリカと日本の違い
- FinTechの最先端のアメリカにおける関連事業への投資額と日本におけるそれには現在かなりの差がある
- 2014年、アメリカは96億1800万ドル、日本は5400万ドルということで、実に180倍もの投資金額の開きがある(米アクセンチュア調べ)
- 世界にあって日本にないサービスなど、地域性の違いが大きい
- 規制の強い業界なので、単純なテクノロジーだけではキャズムを超えられないのは日米で特に違いがない
2. ブロックチェーンについて個別に
違い
- ビットコイン
- 世界最大の暗号通貨ネットワーク
- ブロック単位は約10分※各ノードで難易度が自動的に調整される
- コインベースは現在25BTC/ブロック
- 参加者に制限がないパブリックブロックチェーンである
- カラードコイン
- NASDAQが非上場株式市場の取引に採用(2015/5)
- ビットコインと違い、最初の発行者が存在する(債権発行者)
- カラードコイン自体はオープン・アセット・プロトコルの一つだが、NASDAQ内での運用はプライベートブロックチェーンである
構造、取引の流れ
- 取引はすべてネットワーク参加者にブロードキャストされ検証される(公開鍵と電子署名の確認)
- 情報の構造はインプット部に「UTXOへの参照」「公開鍵」「秘密鍵を使った電子署名」、アウトプット部に「送金先アドレス」「金額」が記録されている
- 一定時間ごとに作成されるブロックにその間の取引記録がすべて含まれる
- 直前のブロックの情報も含む最新のブロックに対して採掘とも呼ばれる計算競争が行われ、結果をブロードキャストし検証してもらい、最も早かったと承認されたものが次のブロックに接続される(間違ってたら接続は拒否される)とともに、最も早かった採掘者は採掘者がそのブロックに埋めた「コインベース」が台帳に接続されることでインセンティブを得ることができる。→「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)法」と呼ばれる
サイドチェーン
- 自由な仕様でプライベート・ブロックチェーンを作ったうえで、パブリックなブロックチェーンと接続して使うことを想定しているのが「サイドチェーン」である(代表的なのがカウンターパーティ)。サイドチェーン内での価値の発生には「ペグ付サイドチェーン」といって、パブリックブロックチェーン内を流れるUTXOを消滅させた証拠(プルーフ・オブ・バーン)をもってサイドチェーン内にコインベースを発生させる方式が一般的。
- ペグつきだと価値の移転がしやすいが、問題はこのPoBが一方向(ビットコイン側に戻せない)であるという点で、行き来可能な2ウェイペグ方式が検討されているが、今のところ有用な実装は生まれてない